しばいぬ紀行

しばいぬも歩けば棒にあたって気づいたよしなしごと

3つのリングは世代を示す「ドラゴンクエストV 天空の花嫁」

天空シリーズ第二弾。「天空の花嫁」がサブタイトルですが、まさか主人公のお嫁さんとは。

アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストV 天空の花嫁

アルティメット ヒッツ ドラゴンクエストV 天空の花嫁

 

 プラットフォームをSFCに移して最初のドラクエは親子三代にわたる壮大な物語でした。異常に強いお父さんと一緒に旅をする少年時代。死別、そして青年時代を経て、この作品の大きな核となっていた、結婚。

 

少年時代からの幼なじみビアンカと、物語の途中でひょっこり沸いて出る由緒正しい名家の令嬢、フローラの二人のうちどちらかを選ぶ、という究極の選択を迫られるわけですが…。果たして、はじめてのプレイでフローラを選べる人がこの世に何人いたでしょう?主人公も馴染みの深い、ビアンカの生まれ育った村で村人にとうとうと諭され、これまた幼い頃からフローラを慕い、命懸けで「証」に挑む青年アンディの存在。選べるか?フローラ!?小心者の筆者は3週目まで選べませんでした。いや、本当に。

 

純粋に「ゲームの攻略」という視点で見れば、じつはフローラの方が有利。大富豪の舅から道々わらわら届く贈り物の数々と、フローラ自身の能力の高さもあいまって、寄らば大樹を地で行くある意味割り切ったシナリオに、ドラクエ新世代の片鱗が見え隠れしています。


DQ5 (PS2) - フローラとビアンカ - YouTube


そしてもう一つの今作の「目玉」である、「モンスターを仲間に出来る」システム。今作で、いちばん馴染みの深かった仲間がスライムナイトのピエールだったという人は多いのではないでしょうか。あのはぐれメタルが仲間になった時の感動。でもあんまり役に立たなくて、やっぱりはぐれメタルは倒すもんだな、と悟りました。

 

ちなみに今作での主人公の職業は物語の合わせてころころ変化し、最終的には「勇者の父親」。幼い勇者をつれて旅を続けながらその成長を見守る…という当初のパパスの立場を自分が体験する事になる物語終盤。今作が与えてくれた最もリアルな体験、それは「生まてきた子供の名前に悩む」事でした。しかも男女の双子。筆者は一時間近く悩みました。いや、本当に。

中村光一が持ち帰ったもうひとつの幸せの箱。 「かまいたちの夜」

もうひとつは、もちろん「トルネコ」。

かまいたちの夜

かまいたちの夜

 

 「トルネコ」は大昔にパソコンでひっそりとブレイクしていた、「ローグ」という作品の、ドラクエ仕様というのは有名な話。一度死んだら装備もレベルもリセットされ、毎回ランダムで構成の変わるダンジョンに繰り返し繰り返しチャレンジしていくうちに、「プレイヤー自身」が、サバイバルのノウハウを身に付けていき、成長する。という非常に面白い試みの意欲作。


そして、こちらは、基本的にはただ画面に次々と表示される文字をときおり示される選択肢を選びながら、分岐する物語を読み進めていくだけの、一見「いや、それだったら小説買うでしょ」と感じさせる程シンプルな作品なのですが…

 


かまいたちの夜 「犯人は・・・・・・ぼくだ」 - YouTube


冒頭で触れたとおり、トルネコが「ローグ」なら、今作は「ゾーク」の中村光一リミックスではないでしょうか? この「ゾーク」という作品は、パソコンに「ゲーム」という文化がようやく定着しだした70年代にシェラ・オンラインという、ある老夫婦の経営する会社が生み出した「アドベンチャー」というゲームを元に、 当時としてはかなり画期的だった、”グラフィック”や”サウンド”という要素を付加し、世に送り出した、今のジャンルでいうところの「サウンドノベルRPG」です。(プレイステーションでリメイクされてリリースされていますので、興味のあるかたはどうぞ)

ゾーク・ワン

ゾーク・ワン

 

 

この、”グラフィック”と”サウンド”という要素は今でこそどんな作品にでもあたりまえに存在し、その重要性が一般に認識されているところですが、この”あたりまえ”の要素をこれほど際だたせて活躍させた作品は他に類を見ません。テキスト主体の作品だけに、その文章の質にも妥協を許さず、活躍中の小説家(我孫子武丸氏)を起用。これにチュンソフトが加わり、作品を盛り上げる、実在するペンションから実写で取り込んだグラフィック、そしてシーンごとに巧みにその緊張を促すサウンドと相まって、”ゲームとしての小説”が研磨されていきます。


また、ゲームだからこそ出来る、シナリオの分岐や、犯人の推理も、ゲーム小説…いや、「サウンドノベル」を更に愉悦あふれる世界に昇らせます。この「シナリオ分岐」が、そんじょそこらの分岐とは比べものにならない程…というか、キャストと舞台の設定をだけを残したまま、まったく別の話に展開していきます。デフォルトのシナリオとなる、推理小説をはじめ、サイコホラー、スパイ小説、はたまた、死体のパーツ探し、といったブラックなものまでその広がりは多彩を極めます。


そのあまりにもシンプルなゲーム性故に、プレイする人を選ばないのも、目立たない部分でありますが、この作品の大きな特徴ではないでしょうか?なお、現在のところ最新作の「3」(トリプル)では、「1」「2」それぞれの本編のみですが、全ての「かまいたち」が収録されていますので、今から一気に遊びたい方にはこちらもおすすめ。 

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相

かまいたちの夜×3 三日月島事件の真相

 

 

 

給料は振り込み。「ラグランジュ・ポイント」

任天堂のカードヒーロー,古くはエニックスのソウルブレイダー等、内容は秀逸なのに、外観のディティールや専門誌の紹介の仕方などで不遇を囲った作品は数あれど、今作に関しては、「真面目にやったのに、時代の空気がアレ」だったせいで、奮闘むなしく「マイナー」の烙印を押されてしまいました。そんな、ファミコン後期の傑作SFRPG。

ラグランジュポイント

ラグランジュポイント

 

 徳間書店(故・ファミマガ)との合同企画RPG。多少なりとも自分の目と耳でゲームソフトの優劣を見極めて購入し、結果途方に暮れた経験をお持ちの方なら、このフレーズだけでそれなりの戦慄を覚える事と思われますが、意外や意外の秀作に仕上がっています。恐らく、この頃のコナミは「原作モノ」のメーカーとしては最強の部類に入るのでは無いでしょうか。「魍魎戦記MADARA」然り。最近でも、「ヒカルの碁」,「遊戯王」等原作をうまく活かした作品作りで評価を高める等、やる気を出したバンダイを見る思いです。

 

本作品の舞台は機械文明が発達した近未来。「ラグランジュ・ポイント」とは本来、月と地球の重力が釣り合う宇宙空間上のある地点を指すのですのが、物語はまさにそのラグランジュポイントに設置されたコロニーへの調査隊が帰還する所から始まります。

 

世界観は徹底したSFで、扱う武器も銃器,電子武器が基本。"魔法"にあたる要素は"HPかいふく1"や"もたつキット"等のアイテムを持たせる事で使用する事が出来ます。ほとんどのキットは装備できる人が限定されており、誰に持たせるかによって、役割分担を自然と意識する事になります。いわゆる"攻撃魔法"は存在せず、こちらはキャラごとに設定された"必殺技"が受け持ちます。

 

中には「いや、それは魔法だろ」と突っ込みたくなるモノもありますが…。(リタとか)この必殺技も「機械に大ダメージ」「生物に大ダメージ」「無属性だけど1体だけに大ダメージ」というように実にハッキリ区別されており、こちらもキャラ立てに大きく貢献しています。前述の「無属性だけど1体だけに大ダメージ」は、実は主人公の必殺技で、このワザのおかげでボス戦の主力足りえるのは今思うと良く出来てるというか、何と言うか。


ラグランジュポイント Lagrange Point (Famicom, 1991) - YouTube

 

物語の中盤あたりから、レジスタンスの本拠地である"サテライトベース"へ行けるようになるのですが、そこにある「ファクトリー」という施設が後半の難易度を大きく左右する、重要なファクターとなっています。ここでは、武器同士の「合成」が可能で、組み合わせ次第で非常に強力な武器を入手する事ができます。ただ高価な武器を組み合わせれば良いというモノでは無いのがポイントで、コツは失敗を繰り返しながら感覚で掴むしか無いのですが、初歩的かつ、ボチボチ効果的な組み合わせは、このコロニーに辿り付くまでの間に、街の人との会話等で散々耳にする事ができます。

 

また、この作品は装備品が人を選ぶ…というか装備するのに必要なステータスと言うものがそれぞれに設定されており、例え中盤でベストな組み合わせをたまたま見つけて超強力な武器を入手したとしても、ある程度のレベルになるまで装備する事が出来ない為、バランスを崩す事もありません(ちっ)。

 

本作では、フィールドの移動は基本的に"乗り物"を利用します。この乗り物を利用するにも"パイロボット"と呼ばれるロボットが必要で、最初は舗装された道しか走行できない"パイロボット1",物語を進めてゆくと、未舗装の道を走行できる乗り物や,海の上を走れる乗り物に乗れるようになります。この辺も、移動手段を得ることによって世界が広がるRPGの王道的フューチャーではありますが、パイボットを載せかえるだけで全ての乗り物がひとつの施設から利用できる点は他と比べて一歩リードしている感があります。

 

移動が乗り物,給料は振り込み、などのシステムもさることながら、BGMの完成度が総じて非常に高く,全体的に大人な雰囲気を醸し出しています。特に街の曲。矩形派倶楽部という強力なサウンドチームを擁するコナミにしては珍しく、BGMの一部を外部に依頼しており,雰囲気が異なるのもそのはずで、レベッカの土橋安騎夫氏、高橋教之氏がそれを担当。

 

この作品のエンディング曲は「ファミコン史上に残る名ED曲のひとつ」と称えられました。筆者もそう思います。そこに至るまでの過程はきっと苦にはならないハズですので、是非プレイしてみて下さい。

エッセンスが凝縮。ひとりナムコミュージアム。「カイの冒険」

筆者の知る限り、最強のコストパフォーマンスを誇るコンシューマーソフトです。ファミコン黄金時代の値崩れ御三家といえば、大御所「燃えプロ」、そもそも、前に進めない驚愕難易度のヘリシューティング「バンゲリング・ベイ」、そしてこの「カイの冒険」。地域によって多少の差はあったと思われますが、大抵、この3本ではなかったでしょうか。 筆者が最後にみた底値は180円。 松屋のサラダ並です。

カイの冒険

カイの冒険

 

 

バビロニア・キャッスル・サーガ(ドルアーガシリーズ)の第0章となる、今作品。1章は、おなじみ「ドルアーガの塔」。 2章は、「イシターの復活」、最終章はSFCで発売されたアドベンチャーゲーム「ブルークリスタルロッド」です。

「最強のコストパフォーマンス」と銘したからには、価格(コスト)もさることながらその内容(パフォーマンス)も問われる訳ですが、個人的には「いま遊んでも充分楽しめる」レベルの、希少なファミコンソフトだと思います。基本的にはジャンプアクションなのですが、主人公はそこらの巫女さんということで攻撃行動は一切取れません。その天性の身軽さと、女神イシターより授かった「どこまでも浮かび上がれるティアラ」(名前失念)のみを頼りに、魑魅魍魎あおすけのうごめく塔を突き進んで行きます。

さて、ジャンプアクションと一口に申しましてもいくつかパターンがありまして、ジャンプボタンを押したら、着地するまで見守るだけの「魔界村」型、ボタンを押したあとも、十字キーである程度の干渉ができる「マリオ」型と、おおまかにはこの2種類に分類されます。そして今作品は「マリオ+拡張型」。

 


NES カイの冒険 / The Quest Of Ki in 20:13 - YouTube

 

主な行動がジャンプと移動のみ、なだけにその操作は異常に作りこまれています。女神イシターより授かった「どこまで(略)」の恩恵により、カイはジャンプボタンを押し続けている間、どこまでも浮かび上がることが可能です。…とはいっても、実際は狭い塔の中ですから、天井にぶつかると、頭を抱えてゆっくり垂直落下していきます。この落下の間は、着地して、しゃがみこんで、じ〜ん とこらえるまで、操作不能です。この、しゃがみこんでいる間は、実際のキャラの当たり判定も小さくなっており、これを利用して、敢えて頭を天井にぶつけてしゃがみこむことで、敵を避けながら進むステージもあります。

…いま思ったのですがこのティアラさ。塔の外堀を昇るってナシですか、ナムコさん

そして、慣性。これが、この作品のキモなのですがカイの移動には、かなり大げさに慣性が付きます。自分で踏ん張る気ナシです。最初のうちはかなり戸惑うと思いますが、慣れてくればその慣性を利用してテクニカルに立ち回る事が可能となります。

一応、ドルアーガの塔 なので、本編は60Fで終わるのですが、ゲーム自体はスペシャルステージと銘打って、100Fまで続きます。この61F〜100Fがカプコンの名作アクションシリーズ、ロックマンもかくやと言うほどの超難易度で、60Fまではワープを駆使すれば10分掛からずに辿り着けるのですがそれ以降は1ステージに10分のレベル。本編ではまじめにアドバイスをくれたイシターも、どんどん壊れていきます。


また、敵キャラにもこれまでのナムコ作品に登場した名キャラや、デザイナーの遠藤氏の顔を冠したホイミスライム(?)など、 やりたい放題です。

 

ゲームセンターCXでも、番組史上初の「シリーズまたぎ」となった作品です。

有野課長も挑戦されているので、ぜひご覧になってみてください。

ゲームセンターCX DVD-BOX5

ゲームセンターCX DVD-BOX5

 

 

生粋のADV最後の金字塔。「SNATCHER」

今回のお題は「スナッチャー」。いきなり話はそれますが、この作品。現状ではかなり入手困難なようです。かなり昔にPS版ザ・ベストとして発売されて以来、現在ではもう生産されていないらしく、中古店でも見かけなくなりました。見かけたら即ゲットです。ええ。千円以下で買えます。たぶん。

SNATCHER 【PCエンジン】

SNATCHER 【PCエンジン】

 

 
筆者の偏見に溢れる「ADVゲーム」の定義とは、プレイヤー主観で進む物語性重視のコマンド選択式テキストゲームであり、なおかつその選択肢はできるだけプレイヤーの能動的な探索を忠実に反映させるものでなくてはならない。

 

それ故に「調べる」→「机」→「引き出し」→レスポンスというディレクトリ型の選択形式になることが多いのですが、「キーボード」という究極の入力媒体を標準で持たない家庭用ハードでは仕方ない事だと思います。ちなみにこのディレクトリ型の選択形式を最初に考案したのが、かの堀井雄二氏。

 

そして時を超え今蘇る(?)筆者の知る限り最後の超硬派ハードボイルドアドベンチャーゲームこそ!今ではすっかり有名人、でも当時はまったく無名だった小島秀夫氏が送るこの作品「スナッチャー」です。

 

ゲームの主題ともなっている、「スナッチャー」とは。暴力と退廃の街ネオ・コウベシティに突如現れた謎の生命体バイオロイド。彼らは人間を殺害、密かにすり替わる事から、「SNATCHER」と呼ばれた…この異常事態に対し政府は対スナッチャー用特殊警察班「JUNKER」を発足。JUNKERとSNATCHERの壮絶な闘いが始まる…


【PCE】 スナッチャー 【OP&Prolog】 - YouTube


という導入。システム自体はまったく当時の王道をゆくディレクトリ選択肢型。しかしながらCD-ROMという媒体をフルに活かし随所に挿入されるボイスが物語を盛り上げます。また、この声優陣の豪華なこと豪華な事。亡き塩沢兼人氏が30分近くも語り続けるシーンはこの作品以外には知りません。

 

そしてADVというジャンルの核であり、それをとったら何も残らない…ハズなのですが最近は絵は残るようで。そうストーリー。物語ですが、これはもう言わずもがな。小島氏の映画好きは有名だそうですが、この作品をプレイされればなるほど納得。随所に同類をニヤリとさせる演出、セリフが散りばめられています。

 

なによりこの作品の特筆すべき点は、全ての家庭用アドベンチャーゲームが抱えていたジレンマであるところの「全部のコマンドを数回選べば勝手に物語が進む」という「ゲーム」というエンターティメントを根本から覆しかねない大問題に一石を投じた事。この作品、物語の要所要所で「ドラクエの名前入力」の要領で、プレイヤーに文字列の入力を求めてきます。いままでの物語の中にひそかに、あるいは大胆(face to faceとか)にひかれた伏線をプレイヤー自身が紡ぎ合わせ、答えを導き出さねばなりません。一見地味なこのフューチャーの効果は絶大で、彼の巧みな演出と相まって、プレイヤーに劇的な「俺が捜査してる」感を与えます。


【PCE】スナッチャー:CD-ROMantic [ACT1] - YouTube

アドベンチャーゲームファンを自認するなら一度はプレイしておきたい、ギリアン&メタルの名コンビを産みだした歴史的秀作。酒場でポロリと漏らせば「オッ、お客さん、通だねぇ〜」ってなモンですよ。

 

実はこの作品、1988年(なんと今から24年前)に、パソコン版で今作のACT1とACT2にあたる部分が発売されているのですが、結局最後のツメとなるACT3が発表されないまま、未完の作品となっていました。そして1992年、PC-エンジン版に待望のACT3を収録し、4年の歳月を経て完結しました。なお、今作品をプレイするにあたっては、可能な限りPC-エンジン版でプレイされる事をお勧めします。PS版への移植にあたって、ボイスは全てPCEからぶっこ抜いたらしく、若干音がこもり気味。尚かつ、この世界感には8bit機のシャープな(モノはいいようですが)グラフィックの方が圧倒的にマッチしています。上位機種への移植が裏目にでた希有な例です。

原作よりドラマティック。「天地を喰らうII 諸葛孔明伝」

ファミコン後期の超名作ドラマティック歴史RPG。前作で非常に淡白だった、ストーリーテリングの部分を徹底的に練り直し、ほとんど別人とも思えるほど実にうまく三国志(特に孔明)ファンのツボを突いた超絶ドラマティックな作品に仕上がっています。

 

天地を喰らうII 諸葛孔明伝

天地を喰らうII 諸葛孔明伝

 

 

サブタイトルにも銘打たれたとおり、今作ではとにかく孔明(諸葛亮)が鬼神のように大活躍。寡兵の劉備軍に攻め寄せる曹操軍10万を火計で屠り、有名な赤壁の戦いにおいては怒涛の曹操軍100万を連環の計と火計で壊滅させ、はたまた、同盟相手のはずの劉障の卑劣な裏切りによって窮地に立たされた遠征軍に颯爽と登場し、火計で窮地を救ったり……火計ばっかじゃん。で、でも、絶対絶命の危機にもはやこれまで…、と、その刹那、ゴゴーっと敵陣にあがる火柱はゾクっとしましたよね?…よね?

 


天地を喰らう2~諸葛孔明伝~ 五丈原の戦い - YouTube


といったストーリー面での拡張もさることながら、個人的にこれがつまらなかったらアウトと言えるRPGの肝、戦闘システムもちょっと昨今の作品でも太刀打ちできないほど見事に練り直されています。前作からの最大の改善点は「陣形」システム。

 

素早さがアップするだけだが、特にデメリットのない「白馬の陣」(これが基本ですよね)端の二人の攻撃力が十分の一程度まで落ちる代わりに策略が当たりやすくなる「魚鱗の陣」(蜀攻略は、これで)守備力、攻撃力が上がるかわりに素早さがガタ落ちになる「衝方の陣」守備力がほぼゼロになる代わりに劇的に攻撃力が上昇する、ヤケクソの陣形「背水の陣」(案外強力)そして、敵に敷かれたら目も当てられない、最強の反則陣形「八卦の陣」(効果はご自分の目で)…と、レパートリーは実に豊富。

 

当然敵も敷いてきますし、陣形同士の相性というものもあります。例えば素早さが両極端になる、「白馬の陣」vs「衝方の陣」では、この対峙の時に限り、白馬側が、一人につき二回攻撃することが出来ます。ちっとばかし攻撃、防御があがってもさすがに二回攻撃されてはひとたまりもありませんので、即座に陣形を組みなおす必要があります。もちろん敵が衝方を引いたらもう、勝ったも同然です。また、ほとんどの陣形が、移動中に組むことが可能で、戦闘に突入した瞬間から設定した陣形で戦うことが可能です。


そして前作から更にその内容を充実させた、策略(要は魔法)純粋にダメージを与えるものから、前作ではあまりにも効果が薄かった、離間(メダパニ)、策返し(マホカンタ)などの補助系の策略も今回はその効果を存分に発揮する事ができるよう細かい調整がなされています。


前作で大好評を得た「総攻撃」コマンドももちろん健在。とにかく戦闘がおもしろい。


そしてBGM。この作品、というかこのシリーズを語る上で絶対に外せない要素ですね。初めて聴いたのが小学校五年生。そのインパクトはあまりにも鮮烈で、十数年を経た今聴いても、まったく色褪せることなく胸が昂ぶります。初めて聴いた人に十中八九「うお!かっこいい!」と言わせる数少ない、文句なしの名曲ではないでしょうか。

 

蛇足ですが、「天地を喰らう」は、このファミコンのRPGと、アーケードでの、ファイナルファイト型アクションゲームで、まったく同名で、共に二作品リリースされており、いきなり話題を振るときに大変混乱したります。サブタイトルだけ違うので、そこまで言い切るのがポイントです。

 



↑違うほう

発売当初からある意味ネットゲー。「大航海時代2」

「まったく、海ってヤツは‥」こんな台詞を一生に一度でも吐いてみたい方は今すぐ千円もって中古ゲームショップにGO!光栄SLGの最高峰と信じて疑わない「大航海時代」シリーズ第2作。

 

大航海時代2

大航海時代2

 

 

初めてこのシリーズをプレイしたのはファミコン時代の1作目。モノ哀しい港町のテーマに載せて果てしない海の広がりを実感‥。という”ファミコンROMカセット”にあるまじき感動を覚えて以来、大ファンになりました。音楽はなんと、菅野よう子。彼女もキティ先生なみに仕事選ばないですね。

プレイヤーは個性溢れる6人のキャラクターからひとりを選んでプレイ。この6人それぞれに、宝捜しやお金儲け、敵討ちや、はたまた世界地図の作成など「大航海時代」を背景にした目的があり、またそれぞれに、非常に秀逸な物語が用意されています。と、ここまでは凡百のSLGとなんら変わることの無いフューチャーですが、そこは筆者一押しの「光栄至上のSLG」。

 


大航海時代II BGM集 ‐ Uncharted Waters 2 BGM Medley ...

 

特筆すべきはその「自由度」。一応6人それぞれに筋道が用意されているのですが、別に何をやってもOK。効率のいい交易路を確立して交易王を目指すも良し。船団を徹底的に武装して、あの地球の裏側まで追って来るレイスから海賊王の称号を奪うも良し。はたまた世界のどこかに秘められた究極の財宝を探すも良し。


ウイザードリィのように徹底的に突き放した自由度も、ある程度熟練したプレイヤーには心地よいものですが、この作品のように、とりあえず進む道は用意しておいて、たくさんの魅力的なサブフューチャーを満載というのも、「自由度」のひとつの形かと思います。とにかく、その「世界」に在るだけで楽しい。

 

次はどこの港を目指そうか、うん、嵐が来なければココで水の補給を‥いやまて、この航路だと補修材は多めに積んで置かないと。日本まで行くには南回りが最短だけど、ここは敢えて海の穏やかな北回りで‥なんて事を考えながら、もうすっかり気分は16世紀。歴史の教科書の教えてくれない等身大の「大航海時代」を体験させてくれる、意外に知られざる大傑作。


プレイを始めて1時間後、おもわず埃をかぶった「社会科地図帳」をひっぱり出してくる事請け合いです