しばいぬ紀行

しばいぬも歩けば棒にあたって気づいたよしなしごと

そして伝説へ…「ドラゴンクエスト 勇者ロト三部作」

「Aボタンを押してもジャンプしないゲーム」。

ドラゴンクエスト

ドラゴンクエスト

 

 

これが僕のドラクエに対するファーストインプレッションでした。なにせ、当時まだファミコンではそもそも「RPG」という概念が存在しなかった時代。ゲームをはじめると、いきなりメッセージが表示されるのですが、誰が喋ってるのかわからない。というより、自分がどれだかわからない。困り果てた子どもたちは、 


「とりあえずAボタン押して、ジャンプしたのが自分だ」


という画期的な判別法を思いついて、実行。ジャンプこそしなかったものの、さっきと違うメッセージがスクロールして来たので、「そうか、この文字が主人公なんだな」と若干違和感を覚えつつも小学校三年生は大誤解。


ドラクエ1フルプレイ - #001 - YouTube


この当時の小学生がとる行動はただ1つ。そう、「Bダッシュ」。せめて、文字のスクロールが早くなってくれればまだ良かったのですが、そんな気の利いた機能は搭載されておらず大混乱。ここで友人がコペルニクス的発想で強引に解決を図ります。


「わかった!コレはきっと"バグ"ってやつだよ!!」
「そうか!これが"バグ"か!」


妙に嬉しかったのを覚えています。


魔物に拐われた姫を救う。ここまでは件のスーパーマリオと同じ構成ですが、姫を助けたあと、ドラゴンのクエストを達成したあとも物語が続くのは、今から考えても意表を突く展開だったと思います。囚われの洞窟からローレシアの城に帰還するまでの間に宿屋に止まるとチェックアウト時の主人のセリフが変わるのはご愛嬌。

 

ドラゴンクエストII

ドラゴンクエストII

 

 

キャラクター性がとことん希薄なこのシリーズの中でも、今作に登場した「サマルトリアの王子」は1,2を争う印象に残るキャラクターではないでしょうか。「バランスの悪さ」と「アクの強さ」で、現在でも多くの方に支持されるこの作品。

 

超絶に長い「ふっかつのじゅもん」も、各地で悲喜こもごものエピソードを生みましたね。「もょもと」にお世話になった人も多い事と思います。一方で、BGMが好評だったのもこの作品。三人目の王女を仲間にして、フィールドに繰り出した時のあの感動は、いい意味でのトラウマに。


物語終盤、大神官ハーゴンの本拠地に至るロンダルキアの洞窟はその長さと無限ループや落とし穴など構造の難易度自体から、とある雑誌による「二度と行きたくないダンジョン」の堂々第一位に輝きました。名前の由来は「飽きるだろ」のアナグラム。

 


FC版ドラゴンクエストⅡ悪霊の神々 プレイ動画part1 旅立ち - YouTube


「LoveSong探して」孤島の歌姫、アンナの奏でた旋律は今でも強烈に印象に残っています。おなじみ、ふっかつのじゅもん 入力画面の曲。ドラクエ史上に残る名曲ですよね。ちなみに、ルーラ というユニットがCDを出していますが、思い出を思い出のまま取って置きたい方にはお勧めしません。

 

ドラゴンクエストIII

ドラゴンクエストIII

 

 

シリーズ中、もっとも完成度が高く、もっとも支持者の多いのはこの三作目だと思われます。楽曲も最高。ゾーマ戦の曲をSFCの音源で聴きたいがばっかりにリメイク版買いました。


今作のメインはやはり「転職」。キャラを作る、というのも新鮮でしたし、自分で作っただけに愛着もひとしお。また、転職後も前の職業で覚えた呪文は引き継ぐとあって、みんなこぞって自家製「魔法戦士」の作成に熱をあげました。

 

そして、転職を利用しないと作成出来ない「賢者」。魔法使いと僧侶の呪文を両方いっぺんに覚えるという特性をもっており、通常はゲーム中1個しか手に入らない「さとりのしょ」を使わないと転職できません。実はあるモンスターが稀に落とすのですが、あまりにマイナーすぎてある「もうひとつの方法」の方がよく利用されました。その「方法」とは。


最初に作成できる6つの職業のうち、どう考えても普通は選ばない「あそびにん」まともに戦ってくれない。ろくなものが装備できない。「運」だけは異常に成長するが、ほかはさっぱり伸びない。等発売当初はマニア向けのお遊びキャラとして位置付けられていたこのキャラ。なんと、レベル20まで育てると、「さとりのしょ」無しでいきなり「賢者」に転職できるのです。


勇者、武道家、僧侶、魔法使いという編成で、まず僧侶を賢者にして魔法使いを遊び人と交代。気合でレベル20まであげて賢者ふたりにして、両方ベホマを覚えたらバラモスどつきに行くというのが僕の黄金攻略パターンでした。

ドラゴンクエストⅢ バラモスの城とアレフガルドの世界へ FC版 - YouTube


ところで今作。「ロトシリーズ完結編」であるにも関わらず「勇者ロト」という名前がいっこうに出てこないまま、魔王バラモスとの対決までストーリーが展開してしまいます。そして相次ぐバシルーラやイオナズンにもめげず、バラモスを倒してアリアハンの城に凱旋。これで世界に平和が戻った……?と思ったのも束の間。シリーズ恒例の「真のボス」からの招待状が届き、舞台は暗闇の世界へ。ギアガの大穴を抜けてたどり着いたその世界はなんとIの舞台「アレフガルド」


ピアノソロで流れるあのテーマ。しばらく呆然自失と聴き惚れて、おもむろに歩きはじめるといきなりI、IIのモンスターの手厚い歓迎が。スライムベスにキメラ、マドハンドやゴールドマンまで友情出演。滅ぶ前のドムドーラやゴーレムのまだ存在しなかったころの城塞都市メルキド、ガライの港町はまだ小さなほこらでした。

 

そしてマイラの村でジパングの刀鍛冶に精製してもらう、「おうじゃのけん」。日本刀だったんですね、アレ。「どうぐ」で使うとバギクロスというのも何となく頷けます。「たいようのいし」「あまぐものつえ」を合わせてにじのはしを架けて……まんまI。


暗黒の城で、謎の失踪を遂げた勇者の父親との運命の再開、そして別れ。どうやって海を渡ったのかはシリーズ七不思議の一つに数えられました。そして真のラスボス、壮大かつ勇壮なBGMに乗せてゾーマとの決戦。「ひかりのたま」を使うと弱らせられるものの、さすがにここまで伏線を引っ張ってきただけあって、その強大さたるやハーゴン、シドーの比ではありません。「ひかりのたま」の効力で属性が反転したのか、はたまた単なるバグなのか、本来回復の魔法であるベホマでダメージが与えられるのは有名な話。そして死闘の末、遂に魔王ゾーマを屠ると、おなじみの脱出シーン世界の夜明け、と続いて真のエンディング。


「実は今作の主人公こそが、後に語り継がれる”勇者ロト”その人であった」
というしめくくり。


1歩あるくたびにレベルが1あがる裏技、不思議な帽子、幸せの靴、等のレアアイテムの存在、一度クリアすると主人公に「勇者ロト」の称号がつき、勇者をパーティーから外せるといった、クリア後のお楽しみが充実していたのも今作でしたね。