しばいぬ紀行

しばいぬも歩けば棒にあたって気づいたよしなしごと

イン壁2センチ(体感)への飽くなき挑戦。「リッジレーサー」

シュミレーターというゲーム(?)のジャンルがあります。その種類も多彩で、レース(クルマ)はもちろん、バイクや、電車、旅客機など実在する乗り物をモチーフにしたものまで多彩を極めます。

このシュミレーターにも2種類あって、完全に実物そのままの挙動、操縦を再現し「操ることの難しさ」をそのまま作品の愉悦とした物、実在するフェラーリを実物そのままに シュミレートした、セガの「F365チャレンジ」などはそのタイプの真骨頂といえます。


もう一つは、映像やある程度の計算は実物をモデルにしているものの、第一に「ゲーム」として楽しませる事を主眼に置いて、実物の操縦をある程度極めた者のみが体験できる「ワザ」の部分を割合容易な操作でプレイヤーに体験させることで愉悦を感じさせる、まさに「ゲーム」なシミュレーター。
 

リッジレーサー

リッジレーサー

 

 

そして今回のお題は後者の真骨頂。いいもの作るのに最初にそれが作れない、ナムコ。「3Dレース」という今作のジャンルでもセガのバーチャレーシングに追随する形になったものの、そこはアーケードゲーム老舗中の老舗ナムコ。この「リッジレーサー」という作品に初めて出会った時の衝撃は今でも忘れられません。

「ねえ、これ中にクルマがはいってるよ」

当時レースゲームというジャンルはセガの独壇場で、「とうとうアウトランが立体になったよ!」と、バーチャレーシングのリリース当初、初めて文明に触れた猿のように、このカクカクをカクカクとも思わずに、狂喜して友達と競いあっていました。その、初めてマッチに触れた猿にいきなりガスバーナーを突きつけたような、初代「リッジレーサー」の登場。


それこそ初めてテレビを見た人のように、「ねえ、これ中にクルマがはいってるよ」…と、それぐらい、このリリースは衝撃的でした。

現在では使われていて当たり前のテクスチャー(カクカクの面に絵を描く) やアンチエイリアス(ポリゴン特有ののカクカクを無くす)といった当時最新極まりない技術を惜しみなく注ぎ込み、立体=カクカクの常識を打ち破り、その鮮烈なデビューを飾りました。


懐かしすぎる、NAMCOの【リッジレーサー】をプレイ(初級コース) - YouTube


「ゲーム」としての出来も、もちろん当時のレースゲームの中では群を抜いて秀逸でした。コーナリングの際にわざと後輪をスリップさせる事によって、車体を扇状に振らせてコーナーをスムーズにクリアさせる、「ドリフト」という実在するテクニックをはじめて公式にゲームに採用。実際にはほとんど「見せ技」の意味合いの強い技術だそうですが、こと「ゲーム」に関してはこれほど相性のいい操縦技術もありません。


カッコイイ、きもちいい、ちょっと難しい、とモロに三拍子そろったこのテクニックを駆使して、かなり極悪なコーナーを華麗にクリアした時の爽快感は何物にも代え難いものがあります。


アクセルを踏みっぱなしにしてアウト・イン・アウトでコーナーに突入、インの壁ギリギリで、アクセルを離し一瞬ブレーキ(もしくはエンジンブレーキ)、ハンドルを限界まで切って またアクセル!きゅきゅきゅきゅきゅー。ブレた車体を戻すべくカウンターステア(ハンドルの微調整)を当てて、次なるコーナーへ!

僕はシミュレーターより、ゲームが好きです。バンダイナムコさん、もう出さないんですかねえ。