しばいぬ紀行

しばいぬも歩けば棒にあたって気づいたよしなしごと

原作よりドラマティック。「天地を喰らうII 諸葛孔明伝」

ファミコン後期の超名作ドラマティック歴史RPG。前作で非常に淡白だった、ストーリーテリングの部分を徹底的に練り直し、ほとんど別人とも思えるほど実にうまく三国志(特に孔明)ファンのツボを突いた超絶ドラマティックな作品に仕上がっています。

 

天地を喰らうII 諸葛孔明伝

天地を喰らうII 諸葛孔明伝

 

 

サブタイトルにも銘打たれたとおり、今作ではとにかく孔明(諸葛亮)が鬼神のように大活躍。寡兵の劉備軍に攻め寄せる曹操軍10万を火計で屠り、有名な赤壁の戦いにおいては怒涛の曹操軍100万を連環の計と火計で壊滅させ、はたまた、同盟相手のはずの劉障の卑劣な裏切りによって窮地に立たされた遠征軍に颯爽と登場し、火計で窮地を救ったり……火計ばっかじゃん。で、でも、絶対絶命の危機にもはやこれまで…、と、その刹那、ゴゴーっと敵陣にあがる火柱はゾクっとしましたよね?…よね?

 


天地を喰らう2~諸葛孔明伝~ 五丈原の戦い - YouTube


といったストーリー面での拡張もさることながら、個人的にこれがつまらなかったらアウトと言えるRPGの肝、戦闘システムもちょっと昨今の作品でも太刀打ちできないほど見事に練り直されています。前作からの最大の改善点は「陣形」システム。

 

素早さがアップするだけだが、特にデメリットのない「白馬の陣」(これが基本ですよね)端の二人の攻撃力が十分の一程度まで落ちる代わりに策略が当たりやすくなる「魚鱗の陣」(蜀攻略は、これで)守備力、攻撃力が上がるかわりに素早さがガタ落ちになる「衝方の陣」守備力がほぼゼロになる代わりに劇的に攻撃力が上昇する、ヤケクソの陣形「背水の陣」(案外強力)そして、敵に敷かれたら目も当てられない、最強の反則陣形「八卦の陣」(効果はご自分の目で)…と、レパートリーは実に豊富。

 

当然敵も敷いてきますし、陣形同士の相性というものもあります。例えば素早さが両極端になる、「白馬の陣」vs「衝方の陣」では、この対峙の時に限り、白馬側が、一人につき二回攻撃することが出来ます。ちっとばかし攻撃、防御があがってもさすがに二回攻撃されてはひとたまりもありませんので、即座に陣形を組みなおす必要があります。もちろん敵が衝方を引いたらもう、勝ったも同然です。また、ほとんどの陣形が、移動中に組むことが可能で、戦闘に突入した瞬間から設定した陣形で戦うことが可能です。


そして前作から更にその内容を充実させた、策略(要は魔法)純粋にダメージを与えるものから、前作ではあまりにも効果が薄かった、離間(メダパニ)、策返し(マホカンタ)などの補助系の策略も今回はその効果を存分に発揮する事ができるよう細かい調整がなされています。


前作で大好評を得た「総攻撃」コマンドももちろん健在。とにかく戦闘がおもしろい。


そしてBGM。この作品、というかこのシリーズを語る上で絶対に外せない要素ですね。初めて聴いたのが小学校五年生。そのインパクトはあまりにも鮮烈で、十数年を経た今聴いても、まったく色褪せることなく胸が昂ぶります。初めて聴いた人に十中八九「うお!かっこいい!」と言わせる数少ない、文句なしの名曲ではないでしょうか。

 

蛇足ですが、「天地を喰らう」は、このファミコンのRPGと、アーケードでの、ファイナルファイト型アクションゲームで、まったく同名で、共に二作品リリースされており、いきなり話題を振るときに大変混乱したります。サブタイトルだけ違うので、そこまで言い切るのがポイントです。

 



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